忠太のフィールド・ノート より (日本建築学会蔵 07102-3)
タージ・マハル廟についての感想(最後の部分のみを、以下に 読みやすく記す)

4. 建築的価値
 世人がタージを称揚するは、その全体が白大理石より成るをもってなり。その装飾に貴石を用いたり というに在り、プロポーションが美なり というにあり。プロポーションの美なるは 余も同意なり。然れども 細部の扱いおよび 装飾に至っては 感服しがたし。プランニングとコンストラクションは佳なり というのみ。別に奇巧なし。要するに、一体に 偉大と 崇高の気韻なし。 中央のドームは高さ 260フィートに至り、基壇の大きさは 313フィート四方 あるにもかかわらず、甚だ小さく 可愛らしく見ゆ。けだし、どこまでも偉大さを失うことによって 美を得たるものか。建築として 上出来のものにあらず。