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『 カルパ・スートラ 』 の彩飾古写本、1500年頃
西インド流派 (グジャラート、ラージャスターン) Size= 12cm x 30cm
細密画は 「王妃トリシャラーの胎児の移動」 を描いている。
マガダ国のクンダ村に、クシャトリアの貴族カーシャパ・シッダールタと、その妻で ヴァイシャーリー王の妹の ヴァーシシュタ・トリシャラーが住んでいた。 彼女が身ごもった時、村のバラモン地区に住む リシャバダッタとデーヴァーナンダーというバラモン夫婦もまた身ごもった。 これが将来 ジャイナ教の大聖人であるマハーヴィーラとなる胎児だと知った シャクラ神(インドラ神、帝釈天)は、そのような高貴な人が、劣等な種族であるバラモンの家に生まれてはならないと、ハリナガメシー神に命じて 両者の胎児を入れ替えさせる。 そこで、マハーヴィーラは 高貴な種族である クシャトリアの家に生まれることとなる。 細密画では ハリナガメシーが、デーヴァナンダーから胎児マハーヴィーラを持ち去る場面と、トリシャラーのところにもってくる場面が、上下に描かれている。 (KS-30)